コラム
Aさんの個人情報はどのように流出しましたか?
Aさんは会社の休みに、友達のBさんと旅行に出かけていました。しかし、なぜか職場のCさんに知られていました。さて、情報はどのように流出したのでしょうか?
旅行前、AさんとBさんはカフェで旅行の計画を立てていました。
Aさん「このカフェ、フリーWi-Fiあるよ!」
Bさん「私はいいかな…旅行でどこか行きたい場所ある?」
Aさん「オワりん見たいかも!最近私はまってて」
Bさん「オワりん?確かにネットで人気だよね」
Aさん「そうそう!動画サイトで見てから気になっちゃって。今度、イベントでショーをやるんだよね。時間があれば行きたいなって!」
Bさん「オワりんって、愛知県のご当地キャラクターだよね?もしかして歌うの?」
Aさん「うん!オワりんは着ぐるみだけど面白くて歌もうまいんだ!」
二人はしばらくオワりんの話で盛り上がりました。
Bさん「じゃあ!オワりんのイベントに合わせて旅行の予定立てよっか!」
Aさん「いいね!なら、ホテルは会場に近いところにしよ!」
二人は旅行に向けて、Googleなどの検索エンジンで調べました。オワりんのイベントの日、近くのホテル、会場に行くまでの交通機関など、次々と入力していきます。そうしてAさんは良さげなホテルを見つけました。
Aさん「このホテルとかどうかな?今キャンペーン中で安いよ!」
Bさん「いいね!そうしよっか!」
Aさん「私がネットで予約するね!」
Bさん「うん、お願いするね!」
Aさんはホテルの予約を、ネットのサイトで取りました。
旅行当日、AさんとBさんはオワりんのイベント会場に来ていました。
Aさん「すごい人だね!」
Bさん「ちょっと危ないよ!」
Aさんは近くの女性にぶつかりそうになりました。女性は写真を撮っており、Aさんに気づいていませんでした。
Aさん「B、ありがとう」
Bさん「いいよ!この会場撮影OKだから、みんな動画撮ってるね!」
Aさん「ほらみて、SNSのトレンドで1位だよ。ここにいるみんなSNSに投稿しているみたい」
Bさん「あと、テレビの取材も来てるね!」
Aさん「インタビュー中だね!」
Bさん「Aも行って来たら?」
Aさん「私はいいよ!見てるだけで充分!」
イベント後のホテルにて
Aさん「SNSに写真アップしよっかな?!オワりんのステージとか」
Bさん「ちょっと待って!私の顔写ってない?」
Aさん「大丈夫だよ!オワりんのステージの写真だよ!」
Bさん「投稿するのはプライベートなアカウントだよね?すべての人に見えるように公開してないよね?」
Aさん「うん、友達限定だよ!」
Aさんは写真を、友達しか見れない状態にして投稿しました。
Bさん「Aの旅行中の写真ちょうだい?」
Aさん「いいよ!LINEで送るね!」
次の日、Aさんが職場に出勤すると、Cさんに話しかけられました。
Cさん「もしかして、オワりんのイベントにいた?実は私もオワりんのファンなんだよね!」
Aさん「え?どうして知ってるんですか!?すごいです!?」
さて、Aさんの情報を、どのようにCさんは知ったのでしょうか。
私たちは様々な形で自分の情報を伝えています。一方でその恩恵を受けている面もあります。例えば、マップアプリは自分の今いる場所をもとに、近くのお店の情報を提供してくれます。検索エンジンは、自分たちが調べたい言葉をもとに、関連する情報を提供してくれます。つまり、自分の情報を伝えて別の情報を教えてもらっているのです。
自分の情報は、想像よりも多くの人や組織に渡ることがあります。例えば、友達のBさんがAさんとの旅行の話を、他者に話す可能性もあります。ネットでは、Aさんはマップアプリやメッセージアプリなどを使うことで、それぞれのアプリを運営している組織がAさんの位置やスケジュールを知ることになります。Aさんが泊ったホテルもAさんの名前や住所を知っているでしょう。このように、情報は自分が直接伝えた相手だけでなく、ずっと多くの人や組織に伝わることがあります。
自分が発信した情報は常に誰かが受け取っています。自分の情報が誰に渡されるのか、どこでどのように使われるか、あるいは悪意がある第三者に伝わってしまう可能性があるのか、想像して過ごすことが重要だと筆者は考えます。
コラム一覧
- ① ネットでのやり取り
- ② Aさんの個人情報はどのように流出しましたか?